こんにちは共月堂です。
 昨日までの湿度の高さが嘘のような晴天に恵まれました。まだ連休が残ってらっしゃる方は、行楽のラストスパートになるのでしょうか? 車の運転などで首や肩が辛くなったら鍼灸は如何でしょう?
 
 今日は接触針の最後、通称「イチョウ針」です。

 この接触針は故米山博久氏が考案したことから米山式いちょう針と呼ばれています。関西の方にはおなじみの針かもしれませんね。こちらの針は小児はりに使われる事が多いものです。
 関東では聞き馴染みが薄いかもしれませんが、所謂「むしきり」と呼ばれるものです。疳の虫という言葉がありますが、子供特有のイライラを抑えるという手技が「むしきり」=虫切りです。
 東洋医学方面から少々専門的な話を。
 東洋医学では人の一生を一年の四季に例える事が有ります。このような比喩は東洋医学では良く使われます。幼少期をそれに置き換えてみると春の時期に当たります。春は草木が萌え生命が芽吹く季節です。この春と言う季節を東洋医学の根幹を作る黄帝内経素問で見ると、春は陽の気が多い季節だと有ります。この陽の気というものは生命活動を活発にし、活動的にするエネルギーの象徴として捉える事が出来ます。ココでの気は、あくまで観念的なものとして考えて下さい。さて、そんな状態を幼少期に当てはめてみると、子供は活発に活動し、成長します。これをもって子供は陽の気が多いと考えられます。
 この陽の気は良い面ばかりを持ち合わせている訳では有りません。東洋医学をイメージするさいに良く用いられる太極図というものを見て下さい。

 白の中にも黒が有り、黒の中にも白が有ります。このように一つの側面だけでなく、その相反する性質も同時に持っているという考え方が東洋医学の根幹に有ります。陽の気という生命力あふれた気を多く持つことは、同時に発熱しやすい体質を意味しますし、怒りのような感情を産みやすい状態でもあり、それをコントロールする能力が弱いことも意味します。これを臓腑と関連して考えると、怒りなどを伴う熱ということから肝陽が多いと考えます。
 この肝陽が亢進した状態を疳の虫、古くは「肝の虫」と呼ばれる状態です。
 とはいえ、子供は陽の気が多い状態が正常ですから、大人のような治療を行うと逆に体調が悪くなります。それゆえに子供に対する治療は接触針を使った「むしきり」という独自の物が主体になるとされます。
 難しい事はこのくらいにして、どんな風に使うのかを紹介しましょう。
 


 ちいさい物なので手に隠れます。あまり見せないようにして持つのがコツですね。これを擦るように使います。


 ときに反対側の鋭い方も使います。

 軽く、軽く、擦るように使うのがコツだと思います。