http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090306-00000002-cbn-soci
 口腔ケアとインフルエンザ発症率の、この記事を読みました。
 如何に現在の科学が進んでいたとしても、全てを分解して作用機序を知るまでには至っていないわけで、それを前提に科学ってのを再検討すると、近似値と推論に大きく依存する訳です。そうなると、近似値の集め方、近似値の分析の仕方というのが厳密に必要になり、現時点ではrandomized controlled trialが信用度が高いのでよく使われる訳ですが、さらにRCTを集めて分析したメタ分析まで行えれば理想なんでしょうけど、どうにも、この辺りの数字と人体っていう関連性が共通認識として希薄だなあと思っていました。
 最近は普通にエビデンスという言葉も使われるようになり、EBMなんてフレーズも流通しだしましたが、それでも未だに深夜の通販番組とかのサプリメントを見ると疑念を浮かべずには居られません。
 
 何故このような事を書き始めたかと言うと、東洋医学の診察法に「舌診」という舌を診るものが有るのです。患者さんに口を開けてもらい、口の中の状態を診るのです。確かに東洋医学という一連のものは、数多くの非EBM的要素が含まれていて、完全に否定されている方も多いです。でも、口腔内が汚れている、東洋医学でいうと舌苔が厚い状態(私たちは舌苔黄膩などと表現します)は不健康な状態を意味しているんですね。舌の上にコケのような物がネットリとくっ付いていて、それが黄色くて厚かったりすると内臓疾患を疑うのが東洋医学の舌診です。その事を、今回の記事とすりあわせて考えてみます。
 舌苔などで発生した酵素は免疫力を下げてしまう→つまり舌苔が多い人は免疫力は下がっている状態である可能性が高い→疾患を抱えている可能性が高い
 となると舌診にも一定の根拠が生まれてきます。短絡的ですし、これは一つの例でしかないし、私がデザインした調査でもないです。故にエビデンスとしては非常に弱い物だと言う事は理解しているつもりです。ですが、何も無いよりも遥かに良いのではないか?と思っています。
 私は、こういう小さな作業を繰り返しながら出来るだけ根拠の有る鍼灸というものを考えて行きたいと思っています。長く、険しい道のりでしょうけど。