こんにちは共月堂です。
 
 二月になると大学受験が本格的になりますね。院長が大学受験をしたころは、ちょうどベビーブーム世代ということで、非常に苦労した記憶が有ります。特に英語が駄目で、なんとも、思い出したく無いぐらいに、苦労したものです。
 
 さて、受験生の方の中で時折「緊張すると腹痛が始まり、酷いときは下痢になる」という症状が見受けられます。もちろん、受験生に限った話でもないのですが、緊張によって腹痛や下痢が出て来る症状は、過敏性腸症候群IBSと言うものの場合が多く、今日はその話を少しだけ。
 このIBS、受験生だけでなく、実は多くの方が持っています。通勤通学の際に決まって腹痛が起こる、なんていう場合、IBSの疑いがあります。基本的にIBSはストレス性の疾患で、ストレスによって自律神経が不調になることで発症すると言います。
 では、鍼灸師という方向から、このIBSの緊急対策を。
 緊急対策などと大げさに書きましたが、急な腹痛や下痢でお困りの時、どうしてもトイレに行けないような場面で症状を緩和してくれる経穴を紹介したいな、と言う事です。

 まず、曲池という経穴を。
 この経穴は手の陽明大腸経の合土穴という経穴です。場所は肘に有ります。まず、腕を軽く曲げていただいて、肘の内側に線が出てくるのを確認して下さい。その線の親指側の端が曲池という経穴になります。この経穴が所属する経絡は、肩の前方を廻る事から肩関節の痛みに使ったりします。ですが、やはり使い勝手が良いのは掻痒や目眩といった風の症状を抑える時と、腹痛です。
 大腸経ということで、この経穴は大腸に連絡しています。東洋医学では痛みの機序を「不通則痛、不栄則痛」という二種類で考えます。何かが詰まっていて痛む、あるいは、栄養(この場合は気血です)が足りなくて痛むという二種類です。IBSのような急性の症状の場合は、不通則痛、つまり、ストレスによって気滞が起こり、それによって痛むと考えられますので、大腸の「不必要な何か」を取り去る経穴が効果的。この「何かを取り去る」効果があるのが合穴とされます。ですので、手の陽明大腸経の合土穴がファーストチョイスとなります。
 ちょっと面倒くさい話でしたが、私も電車の中での急な腹痛のときは、この経穴を指でゴリゴリと、痛むぐらいに押してしのいでおります。
 他にも溫溜や内関といった経穴も使いやすいのですが、如何にせん、こちらの経穴鍼灸師でないと正確に使えないので、やはり、一般的に使っていただきたいのは曲池になりますね。
 
 ちょっとした経穴の話でした。