こんにちは共月堂です。
 もう、お正月は遠い日となってしまいましたね。共月堂は、今月の末にお正月休みを頂く事になっています。連休となりますが、皆様にはご迷惑をおかけして申し訳ございません。
 
http://www.idononippon.com/blockcalendar/2011/01/
 鍼灸にも幾つか業界紙といわれるものがあります。その一つが医道の日本という本です。この本は月刊誌で、随分長い歴史を持っているそうです。私も、鍼灸師を志したときから、折りに触れ目を通して来ました。
 上記のURLは、その本のサイトさんですが、こちらで先月から「日めくりツボカレンダー」と言う物が掲載されています。正経と督脈任脈の経穴を計算すると、365種ありますので、丁度一年で全部が紹介出来るのですね。
 今日のツボは後谿だそうです。
http://www.idononippon.com/blockcalendar/2011/01/09.html
 この経穴は、手の太陽小腸経という正経に属し、兪木穴ですね。手の太陽小腸経という経絡は、小指の先から始まり、肩の部分で胸を通りお腹に深く入る物と背中に回るものに別れ、肩から背中の上部を廻って目の脇に続きます。
 東洋医学では痛みを「不通則痛、不栄則痛」という二つの機序で理解します。経絡に何かが詰まって気血の巡りが悪くなる、あるいは、経絡を廻る気血が不足する為に巡りが悪くなると痛みという症状が出ると考えている訳です。
 この考えに照らし合わせますと、手の太陽小腸経は「目の疲れなどが原因となって肩や手が痺れたり痛んだりする」症状に使える経絡となります。同時に、胸を通過していることから、胸の痛み等を伴い、目が充血するような頭痛などにも使える事になります。
 
 経穴、つまりツボと呼ばれるものは、その属する経絡と、その流れ方(流注と言いますが)と、東洋医学の生理観を組み合わせて使う物なのです。
 今日はちょっと、そんな経穴の選び方を書いてみました。
 もちろん、後谿という経穴は、それだけでなく頸と関連が深い経穴としても知られていますので、寝違えのときに使ったりもします。これは、後谿が八脈交会穴として督脈と関連する事からの配穴になります。さらに督脈が奇経八脈に属し、督脈が「陽経之海」と言われる事から、感冒等の急性症状に対応出来る事も意味します。これが上記URLで言及されている発熱等の症状に対応しているという背景ですね。また、小腸経ということから、東洋医学的な小腸の生理と関連する疾患全体にも利用できます。もうすこし深く突っ込むと、膀胱経のペアですから、尿疾患などにも使えます。
 さらに、この経穴は解剖学の方からアプローチをすると、尺骨神経支配の場所に有る為、小指の痺れなどにも使えますし、掌のトラブルの時にも使えますね。
 
 我々鍼灸師は、こんな風に経穴を考えていて、その考え方を根幹に配穴をして施術をしている、という、ちょっとしたネタバレでした。