こんにちは共月堂です。
 最近の夜の急な冷え込みのせいもあるのか、痹症の患者様を診る事が多くなりました。痹症(ひしょう)というのは、西洋医学的に言うと神経痛などの症状ですね。痺れや痛みを主体とした症状です。
 痹症には「不通則痛、不栄則痛」という機序があるとされ、この時期ですと冷えを原因とした不通則痛という痹症が多くなります。寒邪という、外的要因で経絡が詰まり、それが原因で痛みや痺れが起こるのだとされます。
 こう言う時、一番使うのが中国鍼と灸。
 一般的に中国鍼というと「太くて痛い」という認識が多いようですが、実際の所は、普通の和針と呼ばれる鍼と大差有りません。響きとよばれる、うたれた時に感じるドーンという感覚が大きいだけですね。
 確かに太さでいえば、太い鍼に属しますが、同じ太さの和針も有りますし、構造上の違いは、殆ど見られません。鍼先の研ぎ方が多少違うようですが、それは目的が異なるので違っているというだけだと私は考えています。

 先日のHPリニューアルの際に撮ってみた、鍼の比較写真です。
 一番下が、2寸の中国鍼になります。その上が和針ですね。長さは見本と言う事で違うのですが、太さに関しては見た目では余り違わないように見えると思います。実際、良く使われる和鍼の三番という太さは0.2mm径、中国鍼は0.35mm径で、その差は0.15mm径です。
 では、この二種類の鍼の大きな違いとは何か?と言いますと、打った後に操作をするときの利便性と、打ち方にあると思います。鍼のグリップ部分(鍼柄といいます)に、細い針金が巻いてあるため、中国鍼は打った後の操作がしやすいのです。
 後はやはり、打ち方でしょう。
 和鍼の場合ですと、管鍼法という方法を使います。専用の管に鍼を通し、上から叩いて鍼を打ちます。ですが、中国鍼では管は使いません。
 学生時代に、東洋医学の先生から「一日に200回、毎日打ちなさい」と言われ、私も必死に毎日打ちました。有るときは自分の体に、有るときはバケツに浮かべたリンゴに、と、色々頑張った思い出が有ります。
 この時期、痹症の患者様に中国鍼をうつと、不意に学生時代の練習の日々を思い出してしまいます。