こんにちは共月堂です。
 昨日の経絡のお話の続きを少しだけ。

 経絡と言う物が、体に有るラインだというお話をしましたが、そのラインは臓腑から始まります。ここで言う臓腑というものは、いわゆる西洋医学でいう内臓と少し違うということが大切です。東洋医学が興った頃、レントゲンや顕微鏡は有りませんでした。内臓を観察する機会には多分に恵まれていたでしょうが、その内臓の働きは、おおよその働きしか知る事が出来ず、それ故に多くの推測を含む事になりました。それゆえに、東洋医学での「臓腑」は、観念であると言えます。体の中で行われている生命活動を、臓腑という観念で表現していると認識する事が臨床で東洋医学を流用する時に重要となります。参考までに、鍼灸大成という古典に書かれている臓腑の図を上に載せておきます。
 専門的なお話でした。
 さて、経絡という言葉ですが、これは経脈と絡脈という言葉を合わせた名称です。
 まず、経脈という言葉から少しだけ。
 経という文字は径、道を意味します。また、経という文字は「たて糸」という意味も持ちます。つまり、経という文字単体では「縦に伸びる重要な道」という意味を持つ事になります。なぜ「重要な」という意味が入るのか?というと、布を織るときの機織り機を思い出して下さい。機織りをするときは、布の全体を決定する縦糸が先に張られ、その縦糸の隙間に横糸を渡す事で布になって行きますよね。つまり、全体を決定する要素=縦糸という事です。ですから縦糸は重要なのですね。
 実は、経という文字に上記のような「縦に伸びる(全体を決定づける)重要な道」という意味を持たせているのは経脈の場合だけでは有りません。仏教の「お経」も「経」です。持つ意味も全く同じだと聞いております。
 絡脈ですが、これは経脈を繋ぐ連絡路です。
 他にも毛細血管などのようなものを意味する事も有りますが、経脈という言葉に対応する意味での絡脈では、経脈を繋ぐ連絡路という意味でとらえた方が自然ではないかと言えます。
 文字にも色々な意味が含まれているので東洋医学を勉強するのは大変です。