こんにちは共月堂です。
 今日は鍼灸と陰陽のお話を少しだけ。

 私の恩師は、私に東洋医学の診察法を教えて下さった時に「突き詰めると哲学の世界になるよ」と言っていました。東洋医学というものの発展の経緯を辿ると、それは当然なのだろうなと、今だと解ります。
 何度か書きましたが東洋医学では臓器を「観念」で考えます。顕微鏡やレントゲンが無かった時代、臓器が何をやっているのかを正確に知るすべは観察し推測する事でした。この推測するというプロセスは、他の多くの事柄を巻き込んで進んで行ったようです。その一つに二元論という考え方が有ります。
 簡単に言ってしまうと、世の中の全ては相反する二種類で分類出来るという考え方です。この考え方の一つ前が一元論、つまり世の中の物すべては集約すると一つになってしまうという考え方ですね。
 内臓という、人体に備えられた重要な機関があり、これが不調になると人は死んでしまうということは解っていた。ですが、肝心の臓器の働きが正確に解らない。そのため、その臓器を出来るだけ観察し、そこで何が行われているのかを推測しようと試みた。その推測、考えるという根本的な土台となったものの一つが二元論で、それが今も陰陽という観念で残っています。
 陰陽という、相反する2つの大きな性格を臓器の働きに当てはめて考えたのですね。
 さて、東洋での陰陽という考え方は少々複雑で、それが上の太極図に表されています。
 世の中の物を相反する(この場合は光と影ですが)2つの物に分類するのですが、東洋医学での陰陽は「光りの中にも影の性格を持つ物があるし、反対に影の中にも光の性格を持つ物は有る」という、陽中の陰、陰中の陽という考えがあるんですね。これが上の図の白の中の黒、黒の中の白に表されていると言われています。
 さて、先日、正経とよばれる経絡が十二本あり、それが陰と陽、交互に有ると書きました。このように経絡にも陰と陽という二元論の考え方が導入されているのですね。これだけでなく、陰と陽という考え方は東洋医学において様々な場所に存在しています。
http://www.acupuncturetoday.com/mpacms/at/article.php?id=32084
 Going Back to the Theory of Yin and Yangという記事です。現在カリフォルニアで開業されているアメリカの鍼灸治療を行っている方が書かれた記事ですが、題名はズバリ「陰陽理論に戻ろう」です。東洋医学を考える時、それは国籍や場所を問う事無く、陰陽の考え方は使われています。