こんにちは共月堂です。
 
 東洋医学の最も古く、そして根幹をなすものとして黄帝内経という書物が有ります。この本は鍼灸を初めとした多くの東洋医学を臨床で活用する人に読まれています。昔の中国で書かれた物で、日本語訳されたものが流通しています。一部、簡単に書かれた物も有りますので、興味をお持ちの方は目を通してみるのも面白いかもしれませんね。
 院にも私の私物が置いてありますので、興味が御座いましたら声をかけて下さい。

初めて読む人のための素問ハンドブック

初めて読む人のための素問ハンドブック

 
 そんな素問ですが、東洋医学での生理現象や鍼灸の応用といった事柄のほかにも、養生という視点から色々な事が書かれています。この養生という考え方は病気にならない生活という事に重点が置かれ、とくに季節という環境の変化に対応しようと言う事で、四季に応じて色々と書かれています。その中でも今回は秋の養生を紹介したいと思います。
秋三月、此謂容平、天気以急、地気以明。早臥早起、与鶏倶興、使志安寧、以緩秋刑、収斂神気、使秋気平、無外其志、使肺気清、此秋気之応養収之道也。逆之則傷肺、冬為[歹食]泄、奉蔵者少。
 こちらは原文となります。漢字ばかりで難しいですね。
 稚拙ながら私が簡単に分解してみたいと思います。
秋の三ヶ月は、容平と呼ばれていて、天の気は急であり締まっていて、地の気は実りによって明るくなります。人は早寝早起きをすべきで、鶏のように起きて寝るの生活リズムが望ましいとされます。志は安寧であるべきで、それは冬という死が司る世界を静かに迎えるためで、神気を収斂させ、秋の気に逆らわず、感情を外に向ける事無くすべきです。そうすることで肺の気が綺麗になります。これをもって秋の気を体に納める方法とします。これに逆らう生活を送ると、肺を傷つける事になり、下痢が頻繁に起こる状態になって、冬の生活に支障がでてしまうのです。
 と、言った感じでしょうか。
 一般に、ぜんそく発作が最も頻発する季節として秋があげられます。一日の気温差が引き金になるのだそうです。アレルギーといったトリガーが明確な場合はアレルゲンから回避することが重要ですが、気温による喘息は大変ですよね。昔の人はゆっくり行動することで気温差から来る自律神経のトラブルを押さえようとしていたのでしょう。深い知恵に敬服です。