こんにちは共月堂です。
 今日は少し目と頭痛の話を。
  

 デスクワークが主体の方に多いのですが、PCを使っている事が原因の肩こり、頭痛、目の乾きといった症状群をVDTsynと呼んでいます。これはもう現在の労働環境を考慮すると避けて通れないような状況です。肩こりに関しては良く知られているのですが、頭痛と目に関しては少々専門的な話になってしまうので、今日はそんな話を少しだけ。
 目という物は非常に重要な感覚器となっています。これはもう、皆様に同意を求めるまでも無いかもしれません。視覚からの情報は、時には情動を大いに喚起し、それによる自律神経の興奮によって体全体に影響を及ぼしたりします。単純に言うと、びっくり箱のような物をみたときに、その視覚からの「急激な変化」という情報が脳では「おどろき」という感情を生み出しますし、体は硬直して時には飛び上がったりするわけです。これら一連の動作は自律神経系の働きによるものが大きく、つまり、意識して体を動かしていないのに体が勝手に動いているという状態に近いということになります。
 何だか複雑ですね。
 目という物は沢山の情報を入力していて、それが脳を経由して全身に影響しているのです。
 その目という場所もまた、体の一部である以上神経の支配を受けています。その神経の一つが三叉神経です。この神経は顔面部の感覚などを受け持つ脳神経ですが、目の場合は「目の触覚」という感覚を受け持つとされます。例えば目にゴミが入っていたい思いをした事が有るかと思います。またはコンタクトレンズが目に合わなくてゴロゴロした感覚を感じた事が有るでしょう。この感覚が三叉神経によって脳に伝えられている感覚です。
「目にゴミが入って目を閉じた」
 こんな一連の動作にも三叉神経から感覚が入力され、その感覚が脳幹を経由して顔面神経に伝達されて顔が動くという複雑な経路を辿っています。この経路を角膜反射というのは蛇足でしょうか。ですが、この反射という現象は非常に重要で、これを利用するとハンマーや刷毛だけで神経の状態を相当詳細に知る事も可能なのです。鍼灸師が患者様に触れる時、私たちはこの神経の入力と中継と出力を診ていて、その結果から体内の神経の状態を診ています。
 さて三叉神経ですが、この神経は非常に複雑な経路を持っています。
http://web.sc.itc.keio.ac.jp/~funatoka/anatomy.html
 詳細はこちらのサイト様に詳しいので、興味が有りましたら一度どうぞ。
 三叉神経は三叉神経脊髄路核というルートを持っていて、外部から入力された感覚は直接脳に行かず、この三叉神経脊髄路核を経由してから脳に行きます。この三叉神経脊髄路核というもの、実は首の方に存在しているのです。もうすこし厳密に言うと後頭部から首にかけての奥の方にあります。そして、ここには後頭部から首にかけての支配神経である大後頭神経というものの核も存在し、両方の核がリンクしていると考えられています。つまり、目に何か刺激が入力されると、それは三叉神経を経由して三叉神経脊髄路核に行き、ここで大後頭神経とリンクする事もあるのです。これが、目の疲れによる後頭部痛の発生機序の一つだと言われています。この一連は大後頭神経三叉神経症候群と呼ばれています。もちろん、コレだけが目と頭痛の関連の全てでは有りません。その点はご注意くださいね。
 鍼では後頭部に刺激を入れる事で、大後頭神経から三叉神経脊髄路核に刺激を入力し、ここの痛みをブロックすることで目の方の症状を和らげるというアプローチも行います。ですが、やはり目のケアは鍼だけでは少々心もとないのも事実です。
http://www.acupuncture.com/newsletters/m_sept09/eye%20health.htm
 海外のサイトですが、鍼灸師から見た目のケアの話をリンクしておきたいと思います。
 長文失礼しました。