こんにちは共月堂です。
 今年は余り夏らしい夏を過ごす事無く八月も終わりそうです。
 そんな残り少ない夏ですが、東洋医学での夏の過ごし方というものを紹介してみたいと思います。

 昔の人にとって病気になるということは現在よりも遥かに深刻だったようです。実際、今なら薬を飲めば全快してしまう病気も、当時の人に取っては生死が掛かって来る、何て事も多かったようで、今以上に「病気になる」という事に敏感だったのですね。
 そんな背景も有り、当時の人たちは「出来るだけ病気にならない生活を送る」ことを研究していたようで、そんな流れの一つに各季節の理想的な過ごし方が東洋医学の大著である黄帝内経素問に書かれています。その部分を抜粋してみましょう。
 夏三月,此謂蕃秀,天地氣交,萬物華實,夜臥早起,無厭於日,使志無怒,使華英成秀,使氣得泄,若所愛在外,此夏氣之應養長之道也。逆之則傷心,秋為〓瘧,奉收者少,冬至重病。
 稚拙ながら現代語に訳してみましょう。
 夏の三ヶ月は、蕃秀(ばんしゅう)と呼ばれています。天地の気が交わり、万物は花咲さかえる季節です。夜は(夜更かしする事無く)眠り朝は(日の出とともに)早く起き、日が長い事(暑さ)を厭に思う事ないようにするべきです。心は怒る事の無いようにしましょう。素晴らしい花が咲きそろうように、体の陽気を(運動等で)発散させ、体の外に出してしまいましょう。この季節は外に発散させる事を大切にし、鬱積させない事を意識すべきです。この夏の(熱を伴う)気を体に長く留めてしまうと、それは心(臓)を傷つけてしまい、秋に瘧(熱病の一つ)を起こしてしまいます。秋の病気が収斂する能力を損なってしまい、結果的に冬に大病を患ってしまう原因にもなります。
 といった所でしょうか。
 昔の知恵ですが、今でも充分に通用する素晴らしい見解だと思います。