**今日の日記は刺激の強い写真を掲載しております**
 **閲覧は慎重にお願いします。**
 **不快な感情を喚起する可能性があります。**
 
 

 
 
 こんにちは共月堂です。
 私は自分に対して、結構な頻度で針を打ちます。もともと自分で針治療を受けて、その効果を実感して自分でも鍼灸師になったという経緯を持つので、今も何かに付けて針を使います。自分で自分に打つという行為を不思議に思われる方も多いかと思いますが、このように自分に打つ事で「針を打たれる」感覚を養う目的も有るのです。
 今日はそんな事を通じて、針治療の流れを説明したいと思います。
 
 
 まず今回の私の主訴(治療目的です)は「加齢が原因であろう薄毛対策」です。
 なんとなく公な場所では言いたくない主訴かもしれませんが、写真にも撮りやすいし、問い合わせも多いですし、私も気にしている事なので、あえて選んでみました。
 これは応用が利きまして、同様の方法で円形脱毛症などにも転用出来ますね。さて、私の場合は西洋医学的な脱毛要因は有りません。花粉症対策として薬を飲んでいますが、それはクラリチンで脱毛とは関連性が薄いですし、他の血液疾患は先日の血液検査で否定されています。比較的健康であると言えるでしょう。
 さて、本来ならこの後に東洋医学的診察にシフトしますが今回は省略します。証は気血両虚です。さらに年齢的要因と不眠から腎精不足も始まって来ています。
 では実際にどのような事をするのか?という部分です。
 まず気になっている部分を観察します。こんな状態です。 

 いやあ、自分の事ながら立派な「そりこみ」になってますね。
 ここ数年、徐々に後退を初めていて、このまま完全撤退されるのも非常に困るので針で対応している次第です。針による効果の一つに「打った場所の血行改善」効果があります。これは先日の僧帽筋の論文にもありましたが、針を打つと打った局所で血行が増えるのが多々観察されるのです。血行改善されれば、それは毛根の状態も改善される可能性が高い。そういう発想です。
 では針を選んで消毒です。 

 解りにくいかもしれませんので少々説明を入れさせていただきます。青い瓶が消毒液を入れたものです。その上には綿花が置かれてあり、こちらに消毒液をしみ込ませて使用します。手前に有る物が針です。この針は「ディスポーザブル」の針でして、材質は医療用ステンレスです。この材質は外科手術に使われる機材と同じ物です。殺菌方法も同じ方法で殺菌してあります。針を作っている会社様は注射の針を作ってらっしゃった会社様です。ディスポーザブルなのは使い捨てをするためです。当院では針は全て使い捨てで、一度使った針は全て医療用産業廃棄物として処理しています。
 さて。
 針は本院で一番細いものを選んでみました。個人的にはもう少し太いものを使う方が良いのではないか?とも思っていますが、最初から大きな刺激を入れるのは禁物です。何事も腹八分目が肝要でしょう。針はセイリン社様の物で、0.12mm直径の30mm長のものです。普段使う針の直径が0.2mmなので半分近い細さです。実際、これ以上細い物は使えないというぐらいに細いですね。
 青い瓶には消毒液が入っています。金属部をプッシュすると一回分の使用量が出て来る優れものでして、通称「ハンドラップ」と言います。この形のハンドラップには拘りが有りまして、色々と探してやっと手に入れました。良い思い出です。
 私は短髪なので余り必要でもないのですが、もしもの事も有りますから髪をまとめます。両手の消毒、局所の消毒と手順を踏みまして、実際に針を打ちました。こんな状態になりますね。 

 さっそくウッスラと皮膚が赤みを増しています。
 良く聞かれる事ですが「痛いですか?」という問いがあります。ものすごく敏感な方ではない限り痛みを感じる事は無いと思います。むしろ、この一連で激痛を感じられるのであれば、それはアロディニアなどの疾患を疑った方が良いと思います。私もここまで無痛です。むしろ刺激量の少なさが気になります。
 この時点で使っている経穴は有りません。これはあくまで局所の血行改善を目的としていますので、後退して行く前髪前線に対応させているだけです。そこで、経穴を追加します。通絡という目的で頭維という経穴を選びました。この経穴は足の陽明胃経という経絡に属する経穴で、内臓では胃に連絡し、同時に脾臓にも連絡して行きます。 

 胃経を参考までに。
 他にも上星や百会といった頭にある経穴を選んで刺鍼しましたが、こちらはしっかりと響きを出して行きたいと言う思惑も有り、少し太めの針を使いました。頭維の部分に打った写真をどうぞ。 

 銀色の針が追加されているのがお分かりでしょうか? こちらは中国針と呼ばれる針の中の環球針というものを選んでいます。この環球針は比較的しなやかで腰のある針で、針自体を動かす手技に向いている物です。多少太いものですけど、別に痛みはありません。
 さて、私の場合は気血両虚という状態にあると書きましたが、こちらの対応もしておくべきだと判断しました。さらに腎精不足という部分も潜在的に有るので、腎経と脾経を同時に補いたいので三陰交という経穴を選んでみます。この経穴は足にあり、比較的知られた経穴なのでこちらに「せんねん灸」的な物を使った事が有る人も多いのではないでしょうか? では実際に針を打つとこのような感じになります。

 使った針は寸六の三番というもの。和針とよばれる日本で発達した針で、太さが0.2mmの長さが約50mmの針を意味する専門用語が寸六の三番となります。先ほど中国針を使ったので、今回は写真を撮る目的も有ったので日本の針も使おう!とおもい、選んでみました。
 打った後、置鍼という方法をとる事も多いのですが今回は手技をしてみます。針を細かく動かして、響きとよばれる感覚を強くする事で、針の効果を大きくする手技です。このような感じで針をつまんで細かく動かします。

 他にも足三里などの経穴をつかいましたが、こちらは割愛させていただきます。写真が増えすぎると掲載出来なくなるので。
 大まかですが、このような感じで鍼治療の一連が行われます。
 今回は少々刺激の強い写真を使ってしまいましたが、このような事が行われるのだという記録として紹介したく載せてみました。モデルは私自身なので、写真も撮りやすかったというのも有りましたし。もし不快な感情を喚起してしまいましたらご容赦ください。